不動産買取は損?仲介との違いやメリット・デメリットについて解説

不動産買取は損?仲介との違いやメリット・デメリットについて解説

(令和4年5月5日更新)

本記事は不動産買取について解説しています。

不動産買取とは言葉の通り「不動産を買い取ること」なのはわかりますが、不動産仲介と何が違うのでしょうか?

不動産買取の概要から、不動産仲介との違いやメリット・デメリットについても併せてご紹介します。

■不動産買取とは?

それでは早速、不動産買取の概要について解説していきます。

不動産会社が買い取ること

不動産買取とは、一般的に「不動産会社が不動産を買い取る」ことを意味します。


街にある不動産会社の看板や、インターネットのホームページなどに、「不動産買取専門」や「不動産買取強化中」などと書かれているのがそれです。

「不動産を買う」人といえば、新築住宅や中古住宅などを買うすべての人を指しますが、「不動産を買取る」のは不動産会社であると認識して差し支えありません。


なぜなら、不動産買取を業として行うためには宅建業の免許が必要となることから、不動産を買取る会社は必然的に不動産会社となるためです。

■不動産仲介と買取の違いは?

次は、不動産仲介と不動産買取の違いについて詳しくご紹介します。


不動産会社が直接の買主となる

前述のように、不動産買取は不動産会社が買主となります。

不動産仲介における買主は、不動産会社も含めた一般の個人や法人すべてです。

つまり、不動産会社との直接売買が「不動産買取」で、仲介としての売買は「不動産売却」といえます。

「事業」として買い取る

不動産仲介を通じて売却した不動産(本記事では投資用不動産などは除く)は、そのほとんどが住むために買われます。

不動産買取における不動産は、基本的に「事業」として買われるものであり、つまり転売するための「仕入れ」です。

したがって、住むために購入する不動産は毎月の返済額などを検討しますが、仕入れによる不動産はどれだけの利益が出るのかを検討します。

このことからも、同じ不動産を売るときでもこれらの性質は全く異なることがわかります。

■不動産買取のメリット

次は不動産買取のメリットについて解説していきましょう。

近所に知られずに売却できる

不動産買取は近所にほとんど知られることなく売却できます。

不動産仲介の場合は広告によって集客することで近所にも知られますが、不動産買取は不動産会社と直接やり取りするため、周りに知られることはほとんどありません。

そのため、近所が知る頃には引っ越しが始まっていることでしょう。

不動産がいくらで売りに出ているのか、間取りなどの情報が近所に知られないままに売却ができることは、不動産買取におけるメリットの一つです。

買取価格が明確にわかる

不動産買取は買取価格が明確です。

不動産仲介の主な集客方法はチラシ・インターネットなどの広告ですが、広告価格で確実に売れる保証はありません。

また、購入申し込みが入っても価格交渉や購入のキャンセルもあり得ます。

不動産買取は不動産会社が買主であることから、確実に買い取れる価格を一発で提示します。

また、プロである以上、価格提示後の値下げ交渉や購入のキャンセルはほぼ無いといってよいでしょう。

確実に売却ができることは、不動産買取の大きなメリットです。

スケジュールが立てやすい

不動産買取は売却のスケジュールが立てやすいことがメリットです。

不動産仲介はいつ、いくらで売れるのかが明確ではありませんし、売却のタイミングや買主の住宅ローンなどの都合に振り回されることもあります。

また、買主の住宅ローンの事前承認を取らずに売買契約を先行する場合、さんざん引っ張られた挙句、結局住宅ローンが通らず白紙解約になることもあります。

筆者も売主側の仲介において、この先行売買契約で煮え湯を飲まされた経験がありました。

本記事の趣旨とは違いますが、住宅ローンの事前承認がない状態での売買契約は絶対にやめましょう。

少し話が逸れてしまいましたが、不動産買取の場合は上記のような都合で解約になることはまずないため、売却までのスケジュールが明確です。

したがって、諸事情などにより売却の期限がある場合には、不動産買取が適しているといえるでしょう。

仲介手数料がかからない

不動産買取は仲介手数料がかかりません。

不動産会社が直接の買主であるためです。

仲介の場合は、不動産仲介会社を通じて買主との売買契約をするため、仲介会社に仲介手数料を支払う必要があります。

例えば、3,000万円で売却する場合の仲介手数料は税込で105万6,000円です。

かなり高額であることがわかります。

このことからも仲介手数料がかからないことは不動産買取のメリットといえますが、これに関しては必ずしもそうとは言い切れません。

なぜなら、3,000万円で不動産仲介が可能な不動産が、3,000万円の買取としてイコールではないためです。

つまり、不動産買取はいくらで転売できるかが基準のため、仲介手数料分以上に安い買取価格になることもあります。

■不動産買取のデメリット

次は不動産買取におけるデメリットの解説です。

メリット・デメリットをよく比較して、優先順位を検討しましょう。

不動産仲介での査定価格より安い

メリットの中でも少し触れましたが、不動産買取の価格は、不動産仲介における売却価格より安くなる可能性が高くなります。

不動産仲介での売却価格はイコール市場価格であることから、不動産買取はこの市場価格が基準であるためです。

つまり、市場価格からの逆算で原価+利益を算出するため、不動産買取の価格が不動産仲介での価格より安くなってしまうのは当然ともいえます。

この点は不動産買取における最大のデメリットです。

買い換えなどで足元を見られる

買い換えに伴って不動産買取を依頼する場合、足元を見られることがあります。

買い換えの場合には、不動産仲介での売却と並行すると、スケジュールの立てにくさから上手くいかないことも多いでしょう。

その点不動産買取は買い換えにも適している売却方法ですが、買い換え先を何としても購入したいがあまり、不動産買取の安い価格提示を甘んじて受け入れてしまう場合があります。

例えば、家の近くに条件の良い新築住宅が売りに出たため、買い換えをしたいと考えたとしましょう。

買い換え先の新築住宅は4,500万円。

自身の現宅における住宅ローンの残債は2,500万円とします。

※前提として、住宅ローン返済中に買い換えをしたい場合は、現在の住宅ローンを完済する必要があります。
一般的に住宅ローンは居住用のローンのため、2重で組むことは現実的ではないためです。



現宅不動産の売却相場が2,600万円とすると、不動産仲介であれば住宅ローンを完済できる可能性があります。

ところが不動産仲介は、前述のようにいつ、いくらで売れるかは確実ではありません。

そうこうしている内に、買い換え先の新築住宅が他の人に取られてしまうかもしれない状況です。

そこで買い換え先の不動産会社から提案されます。

「当社が売主の新築住宅は、他にも購入希望の方がおられますが、当社があなたの不動産を2,000万円で買取りさせていただければ、あなたが最優先で商談を進めます」

こう言われた場合、あなたならどうするでしょうか?

買い換え先の新築住宅はあなたにとって非常に条件がよく、以前から探していた理想の物件です。

こんな場合、多くの人はこの不動産会社の話に乗ってしまうのではないでしょうか。

4,500万円+諸費用を仮に200万円として購入総額が4,700万円。


住宅ローンの残債が2,500万円あるため、2,000万円での買取金額で返済(売却にかかる売り渡し費用や税金は考慮せず)をしても、500万円の残債が残ります。


買い換えの購入総額4,700万円に+残債500万円=合計5,200万円の資金調達が必要です。

説明が長くなりましたが、つまりこのようなケースの場合、買い換え先への熱が高いあまり、不動産買取価格に目が行かないことがあるということです。

買い換え先の売主が提示した買取金額は2,000万円でしたが、2,200万円の買取金額を提示する他の不動産会社もあったかもしれません。

200万円の差額は金利1%で35年ローンの場合で月々約5,600円、年間にすると約67,000円です。

家族構成にもよりますが、毎年1泊2日の旅行程度なら行けるのではないでしょうか。

買い換えの場合、全てのタイミングを合わせることが難しい場合も多いことから、足元を見られる可能性もあるため、落ち着いて焦らずに進めましょう。

■不動産買取における注意点

最後は不動産買取における注意点について解説します。

これらは重要なポイントです。
ぜひともご参考ください。

仲介業者が買取業者を連れてきた?

不動産仲介での売却にもかかわらず、仲介業者が不動産買取会社を連れて来た場合、仲介相場よりも安い価格に加えて、不動産仲介業者にも仲介手数料を払うこととなります。

もちろん納得の上であれば構いませんが、始めから自分で不動産買取会社に依頼しておけば、仲介手数料はかかりません。

ただし、不動産仲介会社を通じてのみ不動産買取している会社もあるため、この場合は例外といえます。

売却の指針が定まっていない場合に陥りがちなケースといえますので、仲介手数料も払い、安く買い取られるといったグダグダな状況にならないよう気をつけましょう。

「高く」売るか「早く」売るか

上記のようなことにならないためにも、売却を検討する段階で、高く売りたいのか早く売りたいのかを明確にしておくことをおすすめします。


例えば・・・

・買い換えが絡むため、多少安くても不動産買取を優先する。

・少しでも高く売りたいので、時間がかかってでも不動産仲介を優先する。


これらをしっかりと決めておけば、前項のような事態は防げるでしょう。

一方で、売却の計画は流動的な側面があるのも事実ですが、方針の切り替えは明確にし、曖昧にならないことが重要です。

中途半端に自分でリフォームしない

買取価格を上げるためにリフォームするのは本末転倒なため、絶対にやめましょう。

不動産会社はリフォームを前提とする場合、一般的に売れやすく見栄えの良いリフォームのノウハウを心得ています。

また、比較的安くリフォームができるため、売主側でリフォームをした費用またはそれ以上の金額を考慮してもらえることは少ないでしょう。

したがって、中途半端に手を加えることはかえって損をする結果になる可能性が高いため、極力現状に留めておくように注意すべきです。


■まとめ

ここまで、不動産買取における仲介との違いやメリット・デメリットなどについて解説してきました。

早く確実に売りたいなら買取、時間をかけてでも高く売りたいなら仲介

仲介による不動産買取のケースもある

仲介業者が連れてきた不動産買取会社に直接依頼することはNG


これらの情報がお役に立てれば幸いです。

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