(令和4年5月20日更新)
本記事では、不動産の売却にかかる費用についてご紹介しています。
不動産を購入する際には様々な費用がかかりますが、売却する際にも諸費用が必要です。
また、売却のケースによってかかる税金にも差が出てくるため、不動産の売却をする前に、自身の場合にはどのぐらいの費用がかかるのかを把握しておきましょう。
税金の控除および特例についても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
■不動産売却にかかる諸費用一覧①

売渡し費用
売り渡し費用の目安は3万円前後です。
上記には住宅ローンがある場合の抵当権抹消登記や登録免許税、売り渡し証書作成などが含まれています。
後に解説しますが、売却にかかる登録免許税は、購入時とは違いわずかな費用です。
そのため、売り渡し費用の大半は司法書士へ支払う報酬だといえます。
金融機関へ支払う費用
住宅ローンがある場合の金融機関へ支払う費用の目安は3~5万円です。
繰り上げ返済手数料、保証会社へ支払う抵当権抹消手続きの費用が主な内訳となります。
売却不動産の代金受領と同時に金融機関への返済をするのですが、この返済額合計に、上記の手数料等が含まれていることが一般的です。
これらの費用は、各金融機関によって違いがあるため、事前に確認しましょう。
仲介手数料
仲介手数料は「売却金額×3%+ 6万円」に10%の消費税がかかります。
上記は速算式のため、正確には以下のように計算します。
| 取引額200万円以下の部分 | 5%(以内) |
| 取引額200万円超400万円以下の部分 | 4%(以内) |
| 取引額400万円を超える部分 | 3%(以内) |
仲介手数料は、このような計算によって算出されています。
例えば3,000万円の物件であればいくらになるでしょうか?
【200万円以下の部分】
200万円×5%=10万円
【200~400万円の部分】
200万円×4%=8万円
【400万円を超える部分】
2,600万円×3%=78万円
合計金額:96万円+消費税
3,000万円×3%+6万円=96万円+消費税
このように、価格が400万円以上の場合は速算式を用いるとよいでしょう。
なお、これらの計算は仲介手数料の上限金額です。
■不動産売却にかかる諸費用一覧②

測量費用
測量費用の目安は以下の通りです。
| 現況測量(仮測量) | 3~10万円 |
| 境界測量 | 20万円~ |
| 確定測量 | 50万円~ |
測量は、境界標が無いなど、土地の面積が確定していない場合に必要となります。
ただし測量は決して強制ではありません。
とはいえ、隣地との境界線がわからないような土地を買いたいと思うでしょうか?
売る側も買う側も、予想外のトラブルを避けるためにも測量は行っておくべきでしょう。
ところで、なぜ測量は上記のように3つに分かれるのでしょうか。
【現況測量】
土地の寸法などを計測するだけの簡易的測量
【境界測量】
地積測量図など、土地の寸法はある程度確定されているが、現地に境界標がなく、隣地立ち合いのもと境界標を復元する測量
【境界確定】
土地の寸法を裏付ける根拠が乏しい場合に、隣地立ち合いおよび書面を取り交わして、いわば土地の寸法を証明する測量
このように、測量の種類は土地の状況に応じて行うことなりますが、確定測量が最も安心であることは言うまでもないでしょう。
ただし、測量は隣地立会いの数、土地の大きさといった諸条件によって費用が変動します。
特に確定測量においては、状況によって非常に高額となる場合もあり、100万円をゆうに超えるケースもあります。
そのため、事前に見積りを取っておくことをおすすめします。
解体費用
解体費用の目安は、30坪2階建ての木造住宅で100~150万円です。
土地上の建物が古く、再利用が難しい状態で対価が発生しないような場合は、解体工事を行い更地として売却する方が高く売れることもあります。
ただし解体費用についても、建物の大きさはもちろんのこと、構造や前面道路の広さなどの条件によって費用が大きく変わります。
これら諸条件もふまえた費用の相場は以下の通りです。
| 木造 | 坪あたり3~6万円 |
| 鉄骨造 | 坪あたり4万円~8万円 |
| RC・SRC造 | 坪あたり6万円~10万円 |
その他の費用
その他の費用としては、引っ越し費用や残置物の撤去費用などが挙げられます。
引っ越し費用は、4人家族ぐらいの一般的な荷物で15~30万円が目安でしょう。
残置物撤去費用は、例えば30坪の戸建住宅の広さで、一般的な処分の量から考えると30~40万円が目安といえます。
これらの費用は、会社によって見積りが大きく変わる場合があるため、複数社で見積りを比較するようにしましょう。
■不動産の売却にかかる税金

次は、不動産の売却にかかる一般的な税金についてご紹介します。
印紙税
印紙税は以下のとおりです。
| 契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
| 10万円を超え 50万円以下 | 400円 | 200円 |
| 50万円を超え 100万円以下 | 1千円 | 500円 |
| 100万円を超え 500万円以下 | 2千円 | 1千円 |
| 500万円を超え1,000万円以下 | 1万円 | 5千円 |
| 1,000万円を超え5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
| 5,000万円を超え 1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
| 1億円を超え 5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
| 5億円を超え 10億円以下 | 20万円 | 16万円 |
| 10億円を超え 50億円以下 | 40万円 | 32万円 |
| 50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
※令和3年8月1日現在の法令・通達に基づく一覧表です。
本則税率から、軽減税率の金額を差し引いたものが印紙税となり、不動産売買においては、売買契約書に貼付する印紙がこれにあたります。
なお、売買金額が10万円以下の場合、軽減措置は適用されず税額は200円です。
また、1万円未満については非課税となります。
譲渡所得税
譲渡所得税とは、不動産の譲渡価額に一定額を控除して課税される税金です。
課税譲渡所得金額の計算式は、
課税譲渡所得金額=売却価格−(取得費+諸費用)−特別控除額となります。
上記の課税譲渡所得金額から、以下の区分に応じて税額が算出されます。
| 区分 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 |
| 長期譲渡所得 | 15% | 5% | 0.315% |
| 短期譲渡所得 | 30% | 9% | 0.63% |
不動産を売却した年の1月1日現在において、所有期間が5年を超えている場合には長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得という区分です。
例えば令和4年に不動産を売却した場合、平成28年12月31日以前に所有していれば長期譲渡所得、平成29年1月1日以後に所有していた場合には短期譲渡所得となります。
取得費とは、売却する不動産を購入した費用(建物分は減価償却費相当が差し引かれるため注意)で、諸費用は仲介手数料など取得にかかった費用です。
特別控除額とは、土地収用法による譲渡やマイホームを売った場合の控除(3,000万円控除)を指し、一定の要件を満たすことで受けられます。
なお、3,000万円控除については後述をご参考ください。
譲渡所得税における注意点として、取得費を証明する書類(売買契約書など)がない場合、売却価格の5%しか控除を受けられません。
例えば、4,000万円で購入した木造戸建住宅(築15年・建物価格2,000万円)を3,000万円で売却する場合で比較してみましょう(長期譲渡所得で計算し、特別控除および諸費用は考慮しません)
減価償却後の概算建物取得費=2,000万円×0.9×0.031(木造の償却率)×15年(経過年数) 上記計算による取得費837万円+土地代金2,000万円=2,837万円 3,000万円−2,837万円=163万円 163万円×20.315%=約33万円
3,000万円×5%=150万円 (3,000万円−150万円)×20.315%=約578万円
このように、3000万円控除が受けられないケースにおいては、取得費が不明な場合は高額な譲渡所得税がかかります。
もちろん、3,000万円控除が受けられる場合にはこの限りではありませんが、実際に起こり得るケースです。
万が一このような状況を防ぐため、できる限り取得費の証明になるものを確保しておきましょう。
1.売買契約書および重要事項説明書
2.住宅ローンの金銭消費貸借契約書および住宅ローン償還表
3.登記簿記載の抵当権の設定額
4.不動産購入当時の分譲パンフレットや物件資料
5.通帳の出金記録
6.売買代金の領収証
上記の書類を可能な限り探し出し、取得費の裏付けを補完するようにしましょう。
登録免許税
不動産の売却にかかる登録免許税は、主に抵当権の抹消費用で、1不動産あたり1,000円です。
例えば、土地・建物それぞれに抵当権が設定されている場合には2,000円です。
逆にいえば、現金購入などにより、これらの権利における抹消がない場合には、登録免許税については不要です。
その他の税金
その他の税金として、消費税や固定資産税の日割り精算費用が挙げられます。
個人が売却する不動産の代金に消費税はかかりません。
ここでいう消費税とは、仲介手数料や売り渡し費用などに対してかかる消費税を指します。
固定資産税については、毎年1月1日現在の所有者に、1年分の固定資産税(都市計画税)が課税されます。
そのため、不動産取引においては引き渡し日以前を売主、引き渡し以降を買主として日割り精算します。
日割り計算の起算日は、関東では1月1日、関西では4月1日が一般的です。
■不動産売却の税金控除・特例

これらを上手に活用しましょう。
マイホーム売却時の3,000万円控除
居住用不動産(マイホーム)を売却した場合には、譲渡所得が3,000万円まで非課税とされる控除があります。
3,000万円までの売却益に対して控除されますので、前述のようなケースにおいても譲渡所得税がゼロとなるため、ぜひ活用したい制度です。
ただし、マイホームであれば必ず適用される控除ではなく、以下の要件があります。
①適用期限は平成28年4月1日~令和5年12月31日まで
②以前住んでいた家を売却する場合、住まなくなった日から3年が経過した日の属する年の年末までに売却する
③住んでいた家屋を取り壊した場合
∟売買契約を、家屋を取り壊した日から1年以内に締結する
∟家屋の取り壊しから売買契約までに間に、貸駐車場といった異なる用途に供していない
④売却した年、その昨年また一昨年に、マイホームの買い換え特例や、マイホームの交換特例の適用を受けていない
⑤収用等の場合など、他の特別控除の適用を受けていない
⑥売主および買主が、親子や夫婦などではないこと
主に上記の要件を満たす必要があります。
不動産の売却の際には必ず確認しましょう。
所有期間が10年以上の軽減税率
10年以上所有している場合には、譲渡所得税の税率が低くなります。
また、前述の3,000万円控除とも併用が可能です。
この軽減措置は、課税所得金額6,000万円を基準に算出されます。
| 6,000万円以下の部分 | 6,000万円を超える部分 | |
| 所得税 | 10.21% | 15.315% |
| 住民税 | 4% | 5% |
| 合計 | 14.21% | 20.315% |
なお、課税所得金額は前項のとおり、
課税譲渡所得金額=売却価格−(取得費+諸費用)−特別控除額
このように計算します。
マイホームの買換え特例
マイホームを売却して新たにマイホームを買い換えた場合、売却の際の譲渡所得税を、新たなマイホームを売却する時まで繰り延べられます。
※2021年12月31日までに売却・購入した場合における特例でしたが、2023年(令和5年)12月31日まで延長される見込みです。
売却不動産の適用条件
| 居住期間 | 10年以上 |
| 所有期間 | 10年超(譲渡年の1月1日現在) |
| 適用期間 | 令和5年12月31日まで |
| 売却金額 | 1億円以下 |
購入不動産の適用条件
| 建物 | 居住部分の床面積50㎡以上 |
| 土地 | 敷地面積500㎡以下 |
| 購入時期 | 売却年の前年1月1日~売却年の翌年12月31日まで |
ただし、2022年1月1日以降の延長期間においては、購入不動産の建物の省エネ要件が追加されます。
この点は以前とは違う点となりますので、注意が必要です。
相続した不動産の場合
相続不動産の場合にも軽減措置があります。
・相続不動産の空き家特例
1981年(昭和56年)5月31日以前、つまり旧耐震基準の建物であること、区分所有登記(マンション等)ではないこと、相続までに被相続人以外の居住者はいなかった、などの要件を満たすことで、最大3,000万円の控除が受けられます。
・相続不動産における取得加算の特例
相続不動産を、相続開始の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年が経過する日までに売却を完了した場合、相続税額のうち一定の金額を取得費として加算できます。
■まとめ
【本記事のまとめ】
仲介手数料の計算式は、あくまでも報酬の限度額を表している
司法書士の報酬額には特別な決まりはないため、相場を参考にする
測量には大きく3つの種類がある点には注意
不動産売却は「取得費」が重要 必ず資料を用意する
不動産の売却には税金がかかるが、同時に控除や特例もある
買い換えの特例については「省エネ要件」が追加されている