住宅ローン審査に落ちた時!実例や対策を詳しくご紹介

住宅ローン審査に落ちた時!実例や対策を詳しくご紹介

(令和4年5月17日更新)

住宅の購入には欠かせない「住宅ローン」ですが、住宅ローンには審査があり、誰でも組めるわけではありません。

そのため、申込人の条件によっては審査が通らないこともあります。

本記事では、なぜ住宅ローンが通らないのか?

その原因をご紹介するとともに、住宅ローン審査を通すための対策についても解説していきます。

■住宅ローンの審査基準



住宅ローン審査の細かい基準については金融機関ごとに異なりますが、一般的な要件は以下のとおりです。

住宅ローン審査の主な要件

・借入時の年齢が20歳以上
(※2022年4月からの成人年齢引き下げにより、18歳以上となってきています)

・日本国籍または永住権をもっている

・勤続年数3年以上(自営業者は3年以上)

・継続的に安定した収入がある

・団体信用生命保険に加入できる

以上が主な共通的要件となりますが、これらに一つでも該当しない場合、住宅ローンが組めないというわけではありません。

上記のいずれかを満たさないが、それを補完できるプラス要素などがあれば、住宅ローンの審査を通過することもあります。

ただし、上記の要件はあくまでも最低限ともいえるため、当てはまらない場合、住宅ローン審査のハードルは比較的高くなると考えるべきでしょう。

さらに、住宅ローンの審査はさまざまな条件を加味して総合的に判断されます。

次に解説していきます。

■住宅ローン審査が通らない理由

住宅ローンの審査は、前述の基本要件をはじめとした「総合的判断」です。

そのため、住宅ローンの審査が通らなかった場合はそれ相応の理由があるといえます。

住宅ローンが通らなかった理由について、明らかなものを除いては具体的な回答はなく、得られるのは合否の結果のみです。

ここでは、住宅ローンが通らない理由について考えられるものを挙げていますので、ご自身に当てはまるものがあるか、ご参考ください。

年収の問題

年収が借入基準を満たしていない場合には、住宅ローンの審査を通すことはできません。

年収の問題

①借入希望額に対して年収が足りなかった

②住宅ローン申込みにおける最低年収を満たしていなかった

①については「返済比率」を超えてしまったことにより、申込みができないケースです。



返済比率とは、年収に対して住宅ローンの支払いが占める割合です。



返済比率は金融機関により異なりますが、年収400万円未満は30%、年収400万円以上は35%~40%が一般的な水準といえるでしょう。

例えば年収500万円の場合、住宅ローンが占める年間の返済額は175~200万円で、月々の返済額に換算すると約14万6,000~16万6,000円となります。

上記の返済比率内に収まる借入額を申し込むことで、審査のテーブルに乗せることができ、反対に返済比率を超える場合には、申込み時点で明らかなため受付ができません。

必ず返済比率に収めることが審査の入口といえるでしょう。

②については、金融機関が定める最低限の年収を満たしていないケースです。

例えばR銀行では、前年の税込み年収が100万円以上であることが最低条件とされています。

とはいえ最低年収については明確に定義していない金融機関もあるため、年収は高いに越したことがないのはいうまでもないでしょう。

さらにいえば、最低年収ギリギリである時点で、すでに審査のハードルは高いともいえます。


職業や勤続年数の問題

職業や勤続年数などが理由で、審査が通らないこともあります。

審査が通りにくいとされている職業形態については、一般的には正社員以外の形態で、自営業・契約社員・パートなどが挙げられます。

継続的な安定収入という観点から、正社員は銀行の審査に通りやすいのが現状です。

また、通りにくい職業としては、事故のリスクが高いドライバー系の仕事や、歩合制の営業職などが代表的でしょう。

また、介護関係や美容師などといった、一般的に拘束時間が長いことから離職率が高いとされている職種も、審査が通りにくい場合もあります。

また、上記に加えて勤続年数も重要なポイントとなります。

いくら正社員でも、勤続年数が短いと審査のハードルは高く、反対に正社員以外の上記職業でも勤続年数が長い場合、プラス要素となるでしょう。

勤続年数については3年より5年、5年より10年と長いほどよいとされます。

健康状態の問題

健康上の理由によって、住宅ローンの審査が通らないこともあります。

具体的には、冒頭の「団体信用生命保険」に通らなかったケースです。

団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの借入期間中に高度障害や死亡によって、返済ができなくなってしまった場合に備えた生命保険を指します。

被保険者は住宅ローンの債務者、保険料支払いおよび保険金受取人は金融機関です。

つまり、金融機関はもちろん、住宅ローンの債務者の家族を守るための保険のため、長い住宅ローン期間を考えれば、団信は非常に重要といえるでしょう。

団信に通らない場合には大きく2つの選択肢があり、ひとつは「ワイド団信」です。

ワイド団信とは、通常の団信よりも告知要件のハードルは低く、審査に通りやすい特徴があります。

一般団信よりも返済における金利が上がってしまうことがデメリットですが、これにより住宅ローンが通る可能性があるため、利用する価値はあるでしょう。

もう一つは「フラット35」です。

フラット35は団信の加入が任意のため、無保険で住宅ローンを組むことができます。

無保険と聞けば心許ない気もしますが、団信の基準を満たさなくとも民間の保険で対応できる場合もあるため、併せて検討してみるのもよいでしょう。

その他の借入れの問題

その他の借入は、住宅ローン審査に大きく影響します。

平たくいえば「借金」です。

借金によって、住宅ローン借入可能額が減額となったり、審査自体がアウトになることも多々あります。

前述のように、年収500万円の人で返済比率が40%の場合、年間の住宅ローン返済額は200万円です。

例えば上記年収の人が車のローンを組んでいて、月々5万円の返済をしているとしましょう。

車のローンの年間返済額は60万円ですが、この返済額は住宅ローン審査における返済比率に含まれます。

つまり、200万円の年間返済可能額が140万円に減ってしまうのです。

仮に35年ローンで審査上の金利が3%の場合で考えると、年間返済額が200万円の場合で借入可能額は約4,330万円、年間返済額が140万円の場合は約3,030万円となります。

車のローンがあるだけで、借入可能額が約1,300万円も減ってしまうという結果です。

借金が住宅ローン審査においてどれだけ不利に働くかがよくわかります。


年齢による問題

年齢による問題で住宅ローン審査が通らないケースもあります。

住宅ローンの返済期間は、多くの金融機関において完済年齢80歳と定められており、80歳を超えての返済はできません。

加えて、住宅ローンの返済期間は35年が一般的で、審査においては35年ローンが組める年齢がデフォルトであるといえます。

年齢の計算としては満年齢プラス1歳、つまり次の誕生日時点の年齢で返済期間を逆算するため、44歳までに住宅ローンを組めば完済年齢80歳での審査が可能です。

もちろん、44歳以降でも住宅ローンを審査を通すことは十分に可能ですが、他にも審査におけるマイナス要素があった場合には、高年齢はさらに不利に働くといえます。

そのため、住宅ローンはなるべく若い年齢で組むことで、条件面でも有利となる場合が多いでしょう。


購入物件の担保評価の問題

申込人の問題ではなく、物件に問題があることで審査が通らないこともあります。

物件の担保評価が低いことで、希望の融資額に届かないケースです。



担保評価が低くなる理由

1.建物の築年数が古い

2.郊外など、土地の評価額が低い

3.建築基準法上の接道義務を満たしていない

4.建物が建築基準法上の建ぺい率・容積率を超過している

1.および2.については、建物の築年数および土地の評価に見合った購入価格であれば、それほど困ることにはならないですが、問題は3.および4.のケースです。

3.は接道義務を満たさないことで建築許可が下りない、つまり再建築不可物件とのレッテルを貼られるため、担保評価が出ません。

なお、接道については別記事でもご紹介していますので、参考にしてください。



4.は、いわゆる「違反建築」といわれる物件を指します。

建築基準法を順守せずに建築されている建物に対して、担保評価が下がるのは当然ともいえるでしょう。

上記のような物件は担保評価が出にくいため、購入時はもちろん、売却時にも評価が低くなってしまう点に留意する必要があります。


その他の理由による問題

その他の理由によって住宅ローン審査が通らないケースもあります。

例えば、外国人における永住権の有無が挙げられるでしょう。

永住権がないということは、返済における国外逃亡が容易であるという解釈から、基本的に住宅ローンを通すことは難しいといえます。

ほかには、住宅ローン以外に借入れにおける「延滞」です。

月々の返済に延滞があると、個人信用情報に反映されます。

金融機関は住宅ローンの審査にあたり、これら返済状況の照会が可能なため、延滞があると住宅ローンの審査は難しいといえるでしょう。


■住宅ローンに落ちないための対策

次は、住宅ローンに落ちないための対策を紹介します。


自己資金の準備

自己資金は多いに越したことはありません。

前述のようなマイナス要素も、自己資金ならばカバーできることも多々あるためです。

とはいえ、自力で自己資金を貯めるのは至難の業であり、現実はなかなか厳しいでしょう。

自身で貯めることだけにこだわらず、親からの援助が得られるのならば積極的に利用すべきです。

間違っても、金融機関や信販会社などから資金を借りないようにしましょう。


自身の信用情報の把握

前述のように、返済の遅延などによって個人信用情報に問題がある場合、住宅ローンの審査に大きく影響します。

そのため、少しでも心配なことがあれば、まずは自身の個人信用情報を確認してみることをおすすめします。


個人信用情報機関

・全国銀行協会(銀行系の借入れ情報)

・CIC(信販系の借入れ情報)

・JICC(消費者金融系の借入れ情報)

自身の借入れの種類に応じて、上記の各信用情報機関に問い合わせる必要がありますが、信用情報は重複したり、逆に一つの信用情報機関にのみ記載されていたりするため、できれば上記信用情報期間の全てを確認するのがおすすめです。


連帯保証などの活用

連帯保証などにより、借入額に余裕を持たせることも対策の一つです。

前述のように、住宅ローンの審査には「返済比率」が考慮されますが、返済比率に余裕があるほど審査に有利といえます。

そのため配偶者に収入がある場合には、協力してもらうことで住宅ローンの審査のハードルを下げられるケースもあるでしょう。

収入を合算する方法としては、一つの住宅ローンを二人で返済する連帯保証や連帯債務、借入額を分けて別々で返済するぺアローンなどがあります。

これらを活用することで、住宅ローンの審査を有利に進められることもあるため、検討してみましょう。


借入れ申込額を下げる

非常にシンプルな方法ですが、借入申込額を下げることも対策のひとつです。

例えば年収500万円、返済比率35%、審査金利3%の場合で考えてみましょう。

返済比率借入額
35%約3,780万円
30%約3,250万円
25%約2,700万円



他の条件が同じであれば、返済比率に余裕があるほど住宅ローンの審査に通りやすいため、審査において不安な要素がある場合には、上記のように返済比率に幅を持たせることも対策としておすすめです。


その他借入れの返済

その他の借入れを返済することも対策のひとつです。

前述のように、住宅ローン以外の借入れによる月々の返済額は、住宅ローン審査における返済比率にも含まれてしまうため、借入可能額が減る大きな要因になります。

したがって、自己資金があれば借金の返済に回すことも検討しましょう。

ただし、先に借金を返済すべきか、それとも自己資金として審査をすべきかは、事前に金融機関に相談の上判断することが重要といえるでしょう。

なお、住宅ローン審査にあたっては、借金を返済せずに審査をして「完済条件」として承認を得ることも可能です。

つまり、住宅ローンの内諾を取り付けてから借金を返済することができます。


■住宅ローン審査における注意点

最後は、住宅ローン審査における注意点のご紹介です。


融資実行まで他の申込はNG

住宅ローン審査中は、他の借入れは絶対にNGです。

借入れはもちろんのこと、審査なども絶対にしてはいけません。

住宅ローンの審査において、金融機関は個人信用情報を閲覧できると前述しましたが、信用情報には借入れ情報以外にも、申込み情報も記載されます。

つまり、実際には借りなくとも申込みをしただけでその事実が信用情報に掲載されるため、タイミングによっては非常に心証が悪くなるでしょう。

例えば、住宅ローンの事前審査を通過し、本審査までの間に他の借入れを申し込んだ場合、住宅ローンが否決される可能性が高くなります。

信用情報の反映にはタイムラグがあるとはいえ、わざわざリスクを犯す必要もないため、他に申込みたい借入れがある場合は、住宅ローンの実行後にしましょう。




物件に問題がある場合は見送る

物件に問題がある場合、つまり前述のように違反建築などの担保価値が低い物件は、はじめから見送ることが無難といえるでしょう。

融資が出にくい物件は、売却の際も買主が資金調達に苦労することになり、売れにくい可能性をはらんでいると考えるべきです。

上記を補って余りあるほどの理由があるならば良いですが、そこまでの理由がないのであれば極力見送ることをおすすめします。


事前審査と同じ内容で申込む

事前審査と同じ内容で、本審査に臨みましょう。

前述のように借入れ情報や申込み情報が信用情報に追加されている場合はもちろん、勤務先や雇用形態に変更があった場合は「再審査」になる可能性が高くなります。

つまり、事前審査の結果は無効となる場合があるため、住宅ローン実行までに勤務先などが変わる見込みであれば、変更後に住宅ローンの申込みをしましょう。

例えば住宅ローンの事前審査の承認を得て、不動産売買契約を行ってから勤務先等に変更があり、本審査の結果否決となった場合は最悪のケースといえます。

この場合は売買契約における契約違反を指摘され、大きなトラブルに発展することも考えられるため、安易な判断は絶対に避けましょう。


事前審査を申込み過ぎない

事前審査を複数の金融機関で行った場合、不利に働く場合があるため注意しましょう。

金融機関は住宅ローンの審査にあたり、他金融機関の申込情報も閲覧でき、住宅ローンを申込むと「与信情報」として約6ヵ月間は残るため、同時期における複数の与信情報は蓄積されていくことになります。

金融機関からすれば、与信情報は確認できても合否の結果までは分からないため、複数の金融機関から融資を断られているのでは?と考えることができるわけです。

そのため、明らかに有利な条件で住宅ローンを組めるであろう人以外は、複数の金融機関で申込むことはあまりおすすめとはいえません。

多くとも3つまでに厳選するべきでしょう。


■まとめ

ここまで、住宅ローンが通らない理由や対策などについて解説をしてきました。

【本記事のまとめ】

住宅ローンは「総合的判断」で審査する

心配な点がある場合は自身の「信用情報」を確認する

「返済比率」には余裕を持たせることが重要

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