(令和4年5月5日更新)
本記事では、中古不動産の内見におけるチェックポイントについて紹介しています。
不動産購入を検討する人は、新築・中古にはじまり戸建やマンションなど、そのニーズはさまざまです。
今回は中古住宅に絞って、内見の際に見るべき箇所やよくある質問についてまとめました。
ご参考にしていただけると幸いです。
■中古不動産の内見までの流れ
1.希望条件の決定
2.インターネットなどで不動産情報を収集
3.内覧候補の不動産をピックアップ
4.問い合わせ~内覧予約
5.内覧
不動産の購入は、とにかく内見をしないと何も始まりません。
次は内見の際に見るべきポイントについて解説していきます。
■マンション内見はどこを見る?
外壁や廊下などの共用部分
外壁や廊下といった、専有部分(居住スペース)以外の共用部分はよくチェックしておきましょう。
マンション全体の維持管理が健全になされているかは、非常に重要なポイントといえます。
というのも、マンションを所有すると管理費と修繕積立金が毎月かかりますが、このランニングコストは、主にマンション全体の維持修繕に充てられるものだからです。
管理費は管理会社などへ支払う運営費用で、マンション内の巡回や清掃、マンションの全体の予算管理や修繕計画などを作成します。
修繕積立金は、上記の修繕計画に基づき、実際にかかる費用の積立金です。
つまり、築年数が経過している中古マンションでも、維持管理がしっかり行われているマンションは前向きに検討ができるといえるでしょう。
マンションの資産価値にも大きく関わる部分のため、よくチェックしましょう。
日当たり・風通しの良さ
次からは専有部分におけるチェック項目となりますが、日当たり・風通しの良さは重要です。
誰が聞いても「当たり前だろう」と言いたくなるでしょうが、ここでのポイントは、日当たりをチェックするための内見時間が重要であるという点です。
つまり昼の明るい時間帯かつ10~15時の間あたりに内覧をすることが望ましいといえます。
当然、日当たりは部屋の向きも影響しますので、バルコニー方向や角部屋などについても併せて検討することになるでしょう。
バルコニーからの眺望
バルコニーからの眺望も重要ポイントです。
ただしここでいう眺望とは、景色というよりも周囲の目線があるかどうかです。
例えば、バルコニーからの視界に同じくバルコニー部分が向いたマンションが建っていた場合どうでしょうか?
あまり気持ちの良いものではないですし、年頃の子どもがいれば尚更です。
また、バルコニーからの眼下に月極駐車場などの広大な土地がある場合も注意しましょう。
近い将来マンションなどの高層建物が建築されれば、購入時よりも環境が大きく変わる可能性があります。
設備の劣化具合
設備の状況はよく確認しておきましょう。
ここでのポイントは、明らかに故障しているものではなく、これから故障しそうなもの、つまりお金がかかる可能性があるものをあらかじめ把握しておくということです。
例えば給湯器は意外に盲点となることがあります。
約10年が交換目安と言われていますが、給湯器は10年を超えても案外壊れません。
ただ、ある日突然壊れるため注意が必要です。
つまり、中古住宅を買ってすぐに交換しなければならない場合もあるということなので、内見不動産の給湯器の年式は必ずチェックしましょう。
とはいえ、最近は全面リノベーションを前提で中古マンションを購入するケースも多く、この場合にはあまり心配はいりません。
逆にリフォームの予算が限られている場合は、使える設備は使いたいところなので、細かくチェックするようにしましょう。
駐車場の空き状況・停めやすさ
敷地内にある駐車場が使えるかどうかは重要です。
駐車場が空いてない場合は近所で確保する必要がありますが、そもそも近隣に空きがないことも多くあります。
また、空きがあっても高さ制限のある立体駐車場などは、車種も限られ、幅も狭く駐車がしにくいこともあるでしょう。
なかなか気を遣うかもしれませんが、敷地内駐車場に空きがあれば内見の際に自身の車を駐車させてもらうのも手です。
とはいえ「車を停めるための立体駐車場なのだから、普通に駐車できるだろう」と思ってしまいますよね。
もちろんそうなのですが、昔の規格の立体駐車場には、まれに信じられないぐらい駐車がしにくいものがあるのも事実です。
駐車場前のスペースがあまり広くない場合もありますので、可能であれば実際に停めてみることをおすすめします。
■戸建の内見はどこを見る?
外壁のひび割れや継ぎ目の劣化
外壁のひび割れや継ぎ目など、劣化具合をよく見ておきましょう。
戸建の場合は外壁のメンテナンスも自身でしなければならないため、高額な外壁補修はできれば避けたいところです。
とはいえ、築10年を超えた中古戸建は外壁のメンテナンスが必要な時期にきているといえますので、中古住宅の購入の際はある程度の覚悟が必要でしょう。
外壁の補修費用の目安は、部分補修であれば数万円、全面張り替えや塗装となれば100万前後かかることもあります。
さらに外壁のひび割れなどを放置していると、内部まで雨水が回ってしまうこともあり、下地の補修も必要となり、さらに高額な費用がかかります。
・ひび割れ
・剥がれ
・壁を触ると粉が手につく(チョーキング現象)
外壁がこのような状態にあれば、メンテナンスの時期がきています。
補修費用も含めた上で購入を検討しましょう。
雨漏りの有無
雨漏りの有無は必ずチェックです。
雨漏りは外壁の中にも浸透し、湿気や腐食、果てはシロアリ発生の原因にもなり、良いことは一つもありません。
内見の際には、とにかく各部屋の天井をくまなくチェックしましょう。
特に部屋のコーナー部分の天井にシミなどがあれば要注意です。
過去に雨漏りがあり、すでに補修済みの場合の天井のシミは、非常に薄くなっていることがわかりますが、直近であれば明らかにシミの色が濃いでしょう。
雨漏りの原因は屋根の場合もあれば、前述のように外壁からの雨水流入も考えられます。
したがって、気に入った物件に雨漏りの疑いがあれば、まずはどこから漏れているのかを特定しましょう。
壁なのか屋根なのか、簡単な補修で直るのかを見極め、その費用も併せて購入を検討する必要があります。
建物の傾きの有無
建物の傾きについてもチェックしておきましょう。
傾きの許容範囲は、新築戸建で3/1000未満、中古戸建で6/1000未満が一つの目安といえます。
上記は角度を表す値であり、3/1000は0.17度で6/1000は0.34度です。
人によって感じ方には個人差がありますが、一般的には7/1000(0.40度)を超えたあたりから、平衡感覚に違和感を感じるようになります。
ここまでくると、建具が上手く閉まらず、歪みが出ている箇所があったり、中にはめまいや頭痛を感じる人もいるため、明らかに許容範囲を超えているといえるでしょう。
家の傾きの測り方は、水平器を用いるかスマホアプリなどでも測定が可能です。
とはいえ、内見の際に体感で傾きを感じた時点で、購入は見送ったほうが無難でしょう。
ただし、部分的に床材が変形して傾きを感じているだけの場合もあるため、家全体をくまなく回った上で判断しましょう。
敷地と道路の関係
戸建住宅の場合はマンションとは違い、敷地と道路の関係もチェックしておく必要があります。
敷地に接する道路の広さや、接面の長さ、公道か私道かなどによって、将来的に建物を再建築する場合における建築基準法の適用内容が変わります。
中には、再建築の際には現在建っている住宅と同じ規模の建物は建てられない場合もあるため注意が必要です(違反建築建物の場合)
なお、前面道路についてさらに詳しく知りたい場合は、以下の記事をご参考ください。
点検口の有無
戸建住宅の場合、床下や屋根裏への点検口があるかをチェックしておきましょう。
点検口は、配管からの水漏れや屋根からの雨漏りなどのさまざまなトラブルに即座に対応するために必須です。
床下の点検口は、キッチンや洗面所にある収納庫が点検口を兼ねています。
もし収納庫および点検口がない場合は、和室の畳の下の床板を切って点検口にすることも可能です。
和室がない場合には、点検口をどこかに新設する必要がありますので、設置費込みで5万円前後はみておきましょう。
屋根裏の点検口は、和室の天袋があればその天井の床板の釘を外しておけば、上に押すだけで屋根裏へ上がれます。
和室がない場合は、居室や廊下のどこかに天井点検口を設置する必要があります。
費用は同じく5万円前後はかかるでしょう。
■中古不動産の内見におけるQ&A
中古不動産の内見の前には色々な疑問があるでしょう。
以下をご参考いただき、内覧のお役に立てていただけると幸いです。
内見は何件くらい必要?
不動産を購入するまでの内見の件数は、5件前後が一般的という声が多数です。
不動産ポータルサイト「SUUMO」が提供している不動産Q&A内に、不動産営業マンのアンケートとして紹介されています。
「SUUMO Q:何件くらい物件を見て購入する人が多いの?」
とはいえ、内見が何件必要かは、結論としては「人による」といえるでしょう。
筆者のお客様でも、3年以上探している方もおられるぐらいなので、上記は一つの目安とする程度でよいといえます。
さらにいえば、5件見て決めても、3年以上探して決めても、実際に住んでからの不満は必ず出てくると思っておいた方がよいでしょう。
住宅とはそれだけ一長一短なものであり、100%は難しいものです。
内見に持って行くべきものは?
内見の際に準備すべきものは以下のとおりです。
・水平器またはスマホアプリ
・カメラ
・メモ
・スリッパ
水平器は前述のとおり、傾きを計測するためのものです。
カメラは、記憶よりも記録しておくために必須といえます。
メモは内見の際に気づいたことや疑問を書き留めておくために必要です。
スリッパは不動産会社が用意していることが一般的ですが、万が一使い回しのスリッパであれば、衛生面であまりおすすめとはいえないため、自前の内覧スリッパの用意をおすすめします。
使い捨てのスリッパを用意してくれている不動産会社もいますが、そうでない場合もあるため、念のため忍ばせておくとよいでしょう。
内見した不動産の雰囲気は大事?
内見した不動産で、何かを感じたことはあるでしょうか?
筆者はあまり感じないのですが、お客様の中には「感じる」方がおられるのも事実です。
それはいわゆる、霊的な何かかもしれませんし、第六感的なものかもしれません。
根拠がないため、判断が難しいところではありますが、結論として筆者は上記のような直感は大事にするべきであると考えます。
具体的には、この先内見を重ねる中で、パッと見は決して悪くないのですが、何か雰囲気が悪い。
または逆に、何だかわからないが雰囲気が良いなどと感じた場合などです。
経験上、このように直感で住宅を購入している方と数年後に連絡を取ると、とても快適に生活をしていることが多く、人の直感は理屈ではない何かがあると感じます。
あくまでも個人的所感です。
内見した不動産の近隣情報を知りたい
内見した不動産の近隣情報は、施設関係はすぐに調べることができますが、近隣に住む人の情報を詳しく知ることは難しいでしょう。
不動産会社の立場からも、個人情報の観点からあまり詳細を伝えることはできません。
どんなことがトラブルにつながるかわからないからです。
そのため、実際に話してみた雰囲気などで判断するしかないでしょう。
もし内見中にご近所の方に出会えたなら、積極的に話しかけてみることをおすすめします。
不動産会社からは聞けないような思わぬ情報が得られることもあるためです。
正直、チェックできる自信がない
ここまで解説してきた物件のチェックポイントについては、自身で全てやる必要はありません。
中古住宅の場合は「ホームインスペクション」を利用しましょう。
ホームインスペクションとは、住宅診断のことです。
住宅検査のプロ(建築士など)に、第三者の立場から検査をしてもらうことで、住宅の状況を詳しく知ることができます。
診断費用の相場は5万円前後ですが、診断には物件の売主の承諾が必要となりますので、必ず事前に確認を取りましょう。
売主の負担でホームインスペクションをする場合もありますが、所有する不動産の隠れた不適合責任が出てくる可能性もあることから、売主の立場からは敬遠されがちなのも事実です。
2018年4月から、既存住宅状況調査(ホームインスペクション)の実施の有無について、説明をする義務が不動産仲介会社に課せられています。
しかしながら、診断実施の有無を説明するだけであって、必ず実施をしなければならないわけではないため、まだまだこれからの制度といえるでしょう。
■まとめ
ここまで、不動産の内見の際に見るポイントや、Q&Aについて解説してきました。
せっかく内見に時間を割くのであれば、本記事のポイントなどをご参考いただき、有意義な内見となれば幸いです。
「本記事のまとめ」
内見は何回しても無料のため、納得が行くまで何回でも見るべき
内見チェックが難しい場合は、ホームインスペクションを活用する
戸建の場合は敷地と前面道路の関係についてよく確認すること